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え ぷるりぶす うぬむ * el conejo de la suerte

「ハビ、ラ レチェ!」

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ブエノスアイレス関連で昔のサビオラの半自叙伝『un pequeño gigante』を引っ張り出してきて、なつかしく読んでいたんですが、その中から少し編集して抜粋します。






「パレルモの森」は、フットボール仲間が集まってプレーしていた場所をそう呼んでいて、すぐにサビオラと親友のアレハンドロにとっては第2の我が家となった。

「人生の90%はそこで過ごしたと言えるよ」アレハンドロは言う。90%は少々オーヴァーだとしても、その場所とプレーした日々への愛着は理解できる。

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幼少時代のサビオラは1つのボールに大きな影響を受けていたが、さらに時間の規律も見逃すことができない。カッチョとマリィは息子に一定の規準に従わせ、それから外れることは避けた。

「両親は食事時間のルーティンを正確に決めて僕に守らせたんだ。全てがそんな調子で同じ時間に繰り返された。朝起きる時間、朝食、学校へ行く時間、昼食、おやつ、夕食、シャワーを浴びるのもベッドへ入るのもね。いつも同じ時間なんだよ」ハビエルはそう振り返る。

だがこの時間割を守るには厄介な問題が浮上した。重大な問題が。おやつの時間が、ハビエルが友達と公園でフットボールをしていた時間と重なってしまったのだ。どう解決するか?サビオラ自身が語る。

「僕の家から公園はそれほど離れていなくて、カシアーナおばあちゃんがポットにミルクを入れて持って来たんだ。おばあちゃんってば信じられないよ!歩いてきて、遠くから叫ぶんだ。『ハビ、ラ レチェ!(ミルクよ!)』ってね。決まって夕方の5時だった。ときどき、僕が(ミルク)ココアを飲むために試合が中断されることもあったけど、大抵は夢中になって試合をしてるからやめなかった。そうしたらカシアーナおばあちゃんは、みんながプレーしている中を堂々と歩いて来て、ボールが当たる危険もあるのに僕のところまでやってくるんだ。仕方ないから一気にミルクを飲み干して、ポットを返し、試合を続けたよ」


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学校に上がった当初の教師たちも、サビオラのボールを持つことへの執着や、周囲の友人たちからの尊敬や憧れの眼差しについて語る。アンドレア・バタグリアはEspíritu Santo学校の6歳の頃の教師だ。

「唯一信じられなかったのは、彼のボールへの執着心でした。フットボールをプレーしないではいられないんです。ハビエルはとてもおしゃべりな子だったわ。すごくのびのびしていて、その上いったんボールを持つと、クラスメートの中で小さなリーダーとなり、水曜日にレクリエーションの時間があるとみんなハビエルのいるチームでプレーしたがりましたね」

フットボールが彼の世界だった。ボールに向かい、ボールに従って過ごしていた。
「ハビは足下にボールがあるときが幸せだった」親友のアレハンドロ・コラレスは言う。「あとは、周囲が2㎞ほどあるパレルモの湖の周りを自転車で廻ることだけに興味を示したな。それ以外のことはやりたがらないんだよ。僕がフットボールはやりたくないと言うと、すごく不機嫌になって行ってしまった。彼ぐらいフットボールが好きなヤツはあまりいないよ」


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「ハビ、ラ レチェ!」_a0159012_1892279.jpg


パレルモの森と呼ばれる場所は、サビオラの家やエスクルシオニスタのスタジアム(サビオラが最初にファンになったカテゴリアCのチームです)からほど近いところにあるのですが、この中は100へクタールもあると言われるほど広くて、ゴルフ場、ポロやテニスコート、そして日本のゲートボールのようなボチャスと呼ばれる球技のコートもあります。中には湖も!

ここで、サビオラは仲間たちと石や服を地べたに置いてピッチに見立ててフットボールをし、父親のカッチョさんはそのそばでボチャスをしていました。次第に多くの人が集まるようになり、その広場のことを地元の人たちは「Centro Recreativo Manuel Belgrano」と呼んだそうです。

サビオラのご家族もこの場所にとても愛着を持っていて、カッチョさんは自分の遺灰をボチャスのコートに埋めることを望んでいました。母親であるマリィさんがその遺志を受けて、遺灰をまき、そこに1本の木を植えました。その木は今もそこに立ち、ブエノスアイレスの風を受けながら、遠く離れたポルトガルにいるサビオラを見守っているはずです。
by la_fraise7 | 2010-11-01 11:02 | 『un pequeño gigante』 | Comments(2)
Commented by あさみ at 2010-11-02 09:12 x
こんにちわ!!わぁ~ありがとうございます。
パレルモの森は必ず訪れたいと思います。

ブエノスアイレスには水曜日に到着する予定です^^


Commented by la_fraise7 at 2010-11-02 09:36
あさみさん、こんにちわ!
ヨカッタ、間に合って。どうぞ楽しんできて下さいね〜♥
Buen viaje!
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